人間ではないのにシリーズで一番人間味を感じるめが姉ぇ
場面カットはアニメイトタイムズの記事をご参照ください
デュオをやりたくない理由
あうるにデュオを断られてしまい嘆くまつり。諦めきれないまつりは祖父の英吉があうるを気にかけていることを利用し、家へ遊びに来ないか誘ってみることに。祖父を出しにしてでもまつりはあうるとデュオを組みたいらしい。
あうるも即承諾するあたり、なんだかんだで陽比野家での居候は良い思い出となっていたようだ。めが姉ぇの視点からもその時期のあうるは「楽しそう」に見えていたらしい。その後の飴作り体験の際も英吉に褒められて嬉しそうにしており、こうしていると年相応の普通の女の子にしか見えない。なお、まつりの誘いはあっさりと断られた。
あうるがデュオを拒む理由は「自分ひとりでコントロールできない状況は好きじゃない」というものだったが、それは彼女の家庭環境が影響していた。あうるはその天才性を阿智彦に認められ「ワッチャを無限のエネルギーとして利用するための新しいプリマジシステム」の構築を頼まれる。その結果として作られたのがめが姉ぇだった。めが姉ぇは「拡散したワッチャを集めてエネルギーに変換」することで自立して動くことが可能なAIであり、阿智彦からの頼みをあうるなりに解釈した結果として生み出された存在と言えるだろう。しかしめが姉ぇの製造は阿智彦からは「遊び」と吐き捨てられてしまった。あうるは父親からの期待を背負う一方で、期待に沿わないものには一切興味を持ってもらえない。そんな境遇にジレンマを抱えており、結果的にそれが彼女を孤独にさせてしまったように思える。
めが姉ぇが「共感」できる理由
なおも諦められないまつりは、あうるを買い物に誘う。あうるはネットショッピング以外は不慣れだと言うが、その不安を汲み取っためが姉ぇがサポート役としてそこに同伴することとなった。この機会にあうると仲良くなろうと必死に話をふるまつりだったが、あうるの趣味趣向を完全に理解しているめが姉ぇには全く歯が立たない。まつりはそんなめが姉ぇを見て「あうるちゃんのこと、なんでもわかってるみたい」とお手上げの様子。
あうるにとってめが姉ぇは単に自分が作ったAIであり、それ以上の何者でもなかった。だからこそ自身の孤独を埋める存在にはなり得なかった。しかし上記のまつりの発言を受けてあらためて考えてみると、めが姉ぇには不自然な点が目立つ。あうるが言うには「AIは学習し成長する。それにより複雑な作業や会話もある程度は可能になっていく」とのことだが、めが姉ぇの一連の行動はどう考えてもその領域を超越している。
あうるが「マンスリーベストプリマジ」に選ばれたことを阿智彦に報告した際、その反応は「当然だな」という無感動なものだった。そんな様子を見ためが姉ぇは父親の代わりにあうるを抱きしめる。「なぜかあうる様がこれを求めているような気がして……」と言うめが姉ぇに、あうるは「僕の気持ちがわかるの?なぜ……」と疑問をぶつける。めが姉ぇが言うにはその理由は「私の中にあるワッチャのほとんどはいつもそばにいてくださるあうる様からいただいたものなのです」「あうる様の心のエネルギーも一緒に私に伝わり、共鳴しているのでは」というものだった。つまりあうるが楽しいと思えばそれはめが姉ぇに伝わるし、悲しいと思ったときも同様である。めが姉ぇがあうるに寄り添った行動ができたのはワッチャによって二人の心が繋がっていたからだった。つまりあうるは決して孤独などでは無かったのである。
本来なら人間とAIが心を通わせることなど不可能だろう。しかしワッチャの概念によってそれが可能になるというのはシリーズのテーマである「魔法」による奇跡を押し出した素敵な話だと感じる。当初はめが姉ぇがAIであることに驚きはしたが、こうして見るとシリーズにおいても非常に魅力的な「めが姉ぇ」に仕上がっているように思う。生命という枠を越えて築き上げられたあうるとめが姉ぇの信頼関係は非常に感動的だ。
デュオをやる理由
その後、あうるの新コーデによるライブが行われた。めが姉ぇがあうるを見守る優しげな表情は予告でも印象的だったが、今回の流れをくんだ上で見るとより一層心に響くものがある。
ただ驚きはその後だ。まさかの生命の誕生である。あうるとめが姉ぇのワッチャの共鳴により「雷のフラッシュエレメンツ『ボルト』」が爆誕してしまった。あうるという有機体とめが姉ぇという無機体の築いた関係性ですでに感動していたのに、その二人から生命体まで誕生してしまったらもはや混乱である。エレメンツはすでに確立された存在という印象だっただけに、それが新たに生まれたという点でも驚きはあった。まつりとみゃむがプリマジに参戦してから界隈も大きな変化があったことは前回のひなとあまねの会話を聞いても明らかだが、エレメンツもこれから大きな変化を遂げていく要素のひとつなのかもしれない。
かくして一日にしてあうるとめが姉ぇは子持ちになってしまった。ただあうるにとって最大の関心事はまつりとデュオを組むべきどうかのようだ。めが姉ぇとの心の共鳴、それに伴う奇跡の存在。めが姉ぇが「あうる様と同じ気持ちです」と言ったのは、そういった出来事を経たあうるの中で答えが決まっていたのを把握していたからに他ならない。
あうるが陽比野家に来た際、奇しくもまつりが今回の核心に触れる発言をしていた。
「ワチャワチャとワチャワチャが響き合って、もっとおっきいワチャワチャになる」
言ってしまえば非常に抽象的な発言だ。それを聞いたときのあうるも「意味不明」と断じて聞き流していた。ただ、めが姉ぇとの心の共鳴を経たあうるはその意味が理解できるようになった。その素晴らしさ、魅力を感じられるようになったのだろう。
こうしてまつりは本人の知らぬ間に、あうるとデュオを結成するきっかけを作っていたのだった。本人としてはまったく手応えが無いのに、水面下で相手の心象に影響を与えているというのは非常に主人公らしくて味がある。今回は全体的に王道的な魅力が際立っていて素晴らしかった。
次回、第31話「マジ?テクノロジー?いざ、デュオプリマジ!」
魔法メインのプリマジか、テクノロジーメインのプリマジか? さっそく対立してしまうみゃむとあうる。そんな中あうるは阿智彦に、プリマジ中のみゃむの魔力をスパイとして計るよう命令されてしまう。仲間を裏切ることに心の痛みを感じるあうる。何も疑わずしだいに「仲間」として打ち解けていくまつりとみゃむに、あうるは自分は仲間なんかではない、と自分の罪を告白してしまう。
エピソード ワッチャプリマジ!|テレビ東京アニメ公式
新曲を期待できそうで楽しみだが、ストーリーも熱いことになりそう。
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