科学と魔術が交差するとき、物語は始まる。
場面カットはアニメイトタイムズの記事をご参照ください
魔法か、テクノロジーか
デュオを結成したものの、まつりとあうるは自分たちのプリマジで「魔法」と「テクノロジー」のどちらを押し出していくかを決めかねていた。特にみゃむとあうるは意見がまるで合わない。あうるにとっては不安定さの固まりのようなみゃむとはとことん相性が悪いのだろう。ただそのような言い合いが起きるのは、見方を変えればあうるなりにデュオプリマジを良いものにしようという思いがあるからと言える。
しかしそんな折、あうるは阿智彦からみゃむに魔法をあえて使わせ、その実態を調べるように命令される。言い方を変えれば「スパイ」である。あうるとしては今回のデュオで彼女の信念であるテクノロジーの力を証明するようなプリマジをやりたいと考えていたに違いない。しかしそれは父親の独断で叶わなくなってしまい、しかもその調査対象は対極とも言えるみゃむの魔法である。あうるの心情を思うと胸が痛む。
あうるは最初こそ協力するふりをしてオメガのジムをまつりとみゃむに使わせたり、ワッチャを計測できるブレスレットを制作したりと、あくまで命令を遂行するべく行動していた。しかしそのたびに向けられるまつりの笑顔や、楽しそうなみゃむの様子に心の痛みを感じはじめていた。
そんなあうるの異変を真っ向から指摘したのは意外にもみゃむだった。いがみ合っている二人ではあるが、みゃむとしてはあうるのプリマジにかける信念に共感を抱いており、認めてもいたようだ。だからこそ今のあうるの煮え切らない態度を誰よりも許せなかったのだろう。あうるから悩みを引き出そうとするまつりにも優しさを感じたが、みゃむのように相手を思うがこそ厳しい言葉をかけるのもまた優しさだ。
まつりとみゃむの言葉に耐えきれなくなったあうるは、涙ながらにすべてを話してしまう。ただまつりとみゃむはあうるの心にわだかまりがあることを気にかけていたのであり、スパイまがいのことをしたのは二人にとってはどうでもよかったらしい。「いっしょにデュオプリマジしよ!」と再びライブに向けて歩みだすこととなった。相変わらずまつりの精神性の高さは中学一年生とは思えない。
個人的に印象的だったのは、その後にまつりが「やっぱり魔法もテクノロジーも両方あるほうがいいと思う」と言ったときのあうるの嬉しそうな表情である。思えば彼女はテクノロジーを信念としながらも、それを認められた経験が極端に少ない。そんな彼女にとってまつりの言葉は何よりも心に響いたのかもしれない。逆に言えばそんな当たり前のような言葉ですらありがたく思うあうるを不憫にも感じてしまう。
魔法も、テクノロジーも
いつもの社長室では、例のブレスレットを父親に突き出すあうるの姿があった。「心が痛むから」「テクノロジーは未来をつくるもの。僕は退化はしたくない」といった言葉からはあうるの内面の純粋さが見て取れる。こうして父親の命令に背いたあうるではあったが、当の阿智彦は意外にも冷静な様子だった。それがまた不気味でもある。
こうして魔法とテクノロジーが融合した前代未聞のプリマジが行われることになった。まつりとあうるのデュオ名は「テクノマジカル」。そして曲名は「奇跡の降る」。余韻のある良き曲名だ。
「Wink」を真っ先に思い出したのだが、コメント等を見ても同じように思う人はそれなりにいた様子。聞いているとチルアウトミュージックを聞いた時のような浮遊感に包まれる。
魔法界と人間界の関係性が穏やかではない現状で、このライブはプリマジにおけるひとつの未来を指し示したのではないだろうか。科学が魔法を排除するのではなく、魔法と科学が手を取ってより素晴らしいプリマジを作る。このライブが社長の歪んだ信念を正すことになってほしいと思うが、多分ならないとも思っている。
その後の社長の回想を見ると、やはり当時はまつりの父とは夢を共にする仲間だったようだ。その姿勢も真っ当にプリマジの発展を願っているように見える。ただそれが狂ってしまう何かがまつりの父との間にあったのだろう。それにしては娘であるまつりに対して特別の関心を寄せていないところは気になるが、そういった点も含めて今後の焦点になっていくのだろうと思っている。
御芽河阿智彦のパーソナルな部分も含めて注目すべき点は多いが、とりあえずは現状で「ひな&あまね」「みるき&れもん」のデュオライブを残している楽しみの方が大きい。微妙なタイミングだが、7月のライブでもデュオが見られたら嬉しいと思っている。
次回、第32話「ただ1つの花~あまねのマジ~」
まつりあうるのデュオを見たことで、「自分にはオリジナリティがない、自分は翠子先輩に作られた存在だ」と落ち込んでしまうあまね。一人思い悩むあまねに、水の精霊ウンディーネがある試練を与える。それはあまねが自らの心の中に深く潜り、自分と向き合う為の試練だった。あまねは自分の中の幻想の翠子と対話するうち、自らの「オリジナリティのなさ」を感じ、さらに深く絶望していく…。
エピソード ワッチャプリマジ!|テレビ東京アニメ公式
この期に及んでも翠子先輩が現れていて驚いた。個人的にはすっかり忘れていたが、あまねの中ではまだ解決できていない問題だったらしい。なんだかんだであまねはややこしい部分があるように思うが、クールに見えて複雑な内面性を持つのも彼女の魅力なのだろう。
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