【感想記】アイドルランドプリパラ #12「あまりあまらない! み〜んなのマイドリーム!」(終)

アイドルランドプリパラ

語録洪水再び

完全復活を遂げたゆいは、快気祝いと言わんばかりに食堂で白米を食いまくっていた。そんな様子を微笑ましく眺めるにのとみちる。視聴者からするとゆいの通常運転に見えるが、二人にとっては待ち望んだ光景だったのだろう。ショウゴと恒例の喧嘩も繰り広げられるなど、『アイドルタイムプリパラ』で見慣れた日常がようやく帰ってきたことが感慨深い。

その頃、アイドルランドではいまだに残存しているイガイガ虫の処遇についての会議が行われていた。ひびきが撲滅を推し進めようとするなか、弱々しい態度ではあるがあまりちゃんはそれに反対。「嵐も晴れも同じ空」という表現は言うまでもなくマリオとの関係性の比喩だろう。あれほど嫌悪したマリオは紛れもなく自分の一部であり、それのみならず自身の救いとなる存在だった。アイドルランドを訪れてから自分自身を問い続けたあまりちゃんだからこそ出せた結論であり、その意見にらぁらを始めとするほとんどが賛成。イガイガ虫についてはひとまず共存の道を探ることとなった。

その一方でアイドルランドではゆいの復活を記念するサプライズプロミスが開催されようとしていた。時間稼ぎのためにわけもわからずにのとミーチルに連れ回されるゆいだったが、さして疑問も抱かずにほぼ初体験となるアイドルランドを満喫している様子だ。しかしそのとき前方後円墳と化したあじみ先生が現れ、平穏な時間は終わりを告げる。あじみ先生の狂気を最終回に目の当たりにするとは思いもしなかったが、『プリパラ』の最終回もそういえば似たようなものだった気がする。

狂気の洪水を生み出すあじみ先生によってかえってマイドリの到着が遅れてしまった会場では、その窮地を救うべくふわりがステージに立っていた。披露された曲は『パルプス・ノンフィクション』。ライブイベントでは幾度も見聞きした楽曲ではあるが、あらためて調べてみると2020年秋に初披露されていたらしい。楽曲全体から湧き出る清涼感、そして進化したCGによって表現されるふわりの透明感と、落ち着いた曲調ではありながら彼女の個性を強く押し出しているのが特徴と言えるだろう。ただし個性を押し出したあまり「なちゅ」を多用しているため、ひびきにとっては『ぷりっとぱ~ふぇくと』と同様の苦しみを与える曲に仕上がっている模様。

そして満を持して登場したマイ☆ドリームの三人。ゆいの眠り無くしてはアイドルランドの存続はあり得なかったわけであり、今作の裏の主人公と言えるだろう。そんな彼女たちの楽曲は『ピュア・ハート・カレンダー』。こちらも初披露となったライブイベントは2019年開催であり、CGの公開まで非常に長きを要した曲である。『プロミス!リズム!パラダイス!』のなかでも特に好きな曲だっただけに、最終回でCGライブが披露されたことには感動せずにはいられない。また『アイドルランドプリパラ』の開始を告げたのがそらみスマイル、そしてその終幕をマイ☆ドリームが努めたというのはシリーズの歴史を踏襲しているかのようだ。

それがね、プリパラ

ライブ後、登場したのは再び赤ちゃんの姿に戻ってしまったジャニスだった。プリパラを救った第一人者として女神から直接称えられるあまりちゃんを見ると、もはや彼女は余ることなどできるわけもなく、プリパラに必要不可欠な存在であると実感する。むしろプリパラというのが元々そういった包容力のある場所なのだろう。

最後にジャニスの口から告げられたのは、元の姿に戻るまでの女神代行としてファルルを任命したことだった。元々の資質はもちろんとして、第10話では身を挺してプリパラを守り抜き、「本物のアイドル」として格の違いを見せつけた。これ以上の適任はいないだろう。

そんなファルルの女神としての初仕事は、みんなでポォロロに屋根付きの家を作ってあげることだった。「み~んなの夢を、み~んなで力を合わせて叶えていく」──それがファルルの思うプリパラであるとのことだ。プリパラで生まれ、プリパラで成長しただけあって、ファルルの「プリパラ」に対する解像度の高さが伺える。彼女が女神なら大丈夫だろう。そう思わせてくれる言葉だ。

舞台はバジリコ学園へと戻り、そこには会話に花を咲かせる女の子たちを見つめるあまりちゃんの姿があった。そんな彼女の背中を誰かがそっと押す。「高校生活を楽しむんだ」と新たな夢を抱き、一歩を踏み出すあまりちゃん。彼女のなかにマリオが息づいている限り、きっとその夢も叶うに違いない。

『アイドルランドプリパラ』の振り返りとこれから

かなり含みを持たせるラストではあったものの、ひとまずアニメ『アイドルランドプリパラ』は終幕を迎えた。第1話の後に第0話が公開されるという開幕や、プリパラという存在が女の子の記憶から消滅しているという設定など、シリーズにおいてかなり異質な展開を迎えたのが今作だが、終わってみれば『プリパラ』シリーズらしくときにシュールかつクレイジーでありながらも、根本では真っ直ぐに夢や友情の素晴らしさを謳う作品になっていたと感じる。第1話を視聴した際にも感じたことだが、老若男女を問わずに『プリパラ』シリーズの入口としても大いに勧められるのが『アイドルランドプリパラ』であると思う。

前述のとおり、最終話は『アイドルランドプリパラ』の続編をかなり匂わせるような内容だった。個人的にも『プリパラ』は「プリティシリーズ」における自身の原点であり、可能であればまだまだ続きの景色を見てみたい。先日のライブイベントで茜屋さんが「プリパラは好き?」「じゃあ大丈夫!」というやり取りをしていたのが印象的だったが、今後もファンのプリパラ愛に応え続けてくれる作品──それが『プリパラ』であることに期待していきたい。

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