書評・読書感想・本の話

嘘だらけの戦争広告──『戦争と広告 第二次大戦、日本の戦争広告を読み解く』 書評・読書感想・本の話

嘘だらけの戦争広告──『戦争と広告 第二次大戦、日本の戦争広告を読み解く』

第二次世界大戦中、国民は「嘘」の広告によって戦争の情報を伝えられていた。そこにはどのような狙いがあったのか。そしてそれは国民にどのような感情を抱かせたのか。本書の中には資料として戦時中の雑誌が数多く掲載されており、メディアがいかに実情を歪め...
どこまでも眩しい日常──『しずかな日々』 書評・読書感想・本の話

どこまでも眩しい日常──『しずかな日々』

小説の醍醐味とはなんだろうか。きっと多くの人にとってそれは予想を裏切るような大どんでん返しであったり、華麗な伏線回収だったり、巧みな叙述トリックだったりするかもしれない。確かにそれは小説の華に違いない。ただそういった要素がなくても、素晴らし...
人生、宇宙、すべての答え『銀河ヒッチハイク・ガイド』 書評・読書感想・本の話

人生、宇宙、すべての答え『銀河ヒッチハイク・ガイド』

SF小説の面白さは巧みに構成された世界観にあると思う。ロボットが家庭にいたり宇宙船がワープしたりと、現実ではあり得ないことを小説内では当たり前のこととして扱い、それを特に違和感もなく読ませてくれる。SF小説を読んでいると、不自然なものを自然...
うんこを無駄にするな──『江戸の糞尿学』 書評・読書感想・本の話

うんこを無駄にするな──『江戸の糞尿学』

「糞尿」なんて言葉を聞いたらほとんどの人が顔をしかめるだろう。しかし江戸時代の人々にとって糞尿は非常に価値の高いものであり、糞尿を有効活用することは生きるための術だった。『江戸の糞尿学』はそんな糞尿が江戸時代において人々の生活にどのように関...
耽美小説の極致──『春琴抄』 書評・読書感想・本の話

耽美小説の極致──『春琴抄』

『陰翳礼讃』の味わい深さに触れてから、谷崎潤一郎の著作に興味を持ちつつある。そこで代表作である『春琴抄』も手にとってみた。『陰翳礼讃』と同様に谷崎潤一郎が日本の古典美に目覚めた時期の小説であり、その作品群のなかでも傑作との声が多い。文体が特...
勘違いが語彙を増やす──『言語の本質』 書評・読書感想・本の話

勘違いが語彙を増やす──『言語の本質』

例えばAIに「イチゴは甘酸っぱくて美味しい」と覚えさせるとする。次からAIはイチゴを見聞きしたら「甘酸っぱくて美味しいもの」と認識するだろう。ただ人間と違い、AIは実際にイチゴを食べた経験があるわけではない。そのときAIは本当にイチゴについ...
インターネットで馬鹿になる?──『ネット・バカ』 書評・読書感想・本の話

インターネットで馬鹿になる?──『ネット・バカ』

インターネットの登場以降、人間の生活様式は大きく変化し、それはもはや手放せないものとなった。しかしそれと同時に失われたものも多いように思えてならない。具体的には集中力、思考力、時間といったものだろうか。『ネット・バカ』の著者も同じようなこと...
日本の美の根本は陰翳にある──『陰翳礼讃』 書評・読書感想・本の話

日本の美の根本は陰翳にある──『陰翳礼讃』

この随筆は谷崎潤一郎が日本文化における「陰翳」をとにかく礼讃しまくるという、言ってしまえば題名どおりの本だ。文中に登場する「陰翳」という言葉は20個近くにもなり、50ページに満たない文章のなかでこれだけの数なのだから、いかに熱のこもった筆致...
「粋」という言葉から見る日本の美意識──『「いき」の構造』 書評・読書感想・本の話

「粋」という言葉から見る日本の美意識──『「いき」の構造』

著者の九鬼周造の言うところでは、「いき(粋)」という概念は日本固有のものであるらしい。つまりこの「いき」という言葉を明確にすることができれば、日本に根付いている特徴的な思想や美意識──つまりは「日本人の特殊な民族性」──も同時に明らかにする...
読書は死ぬほど真剣な仕事──『ヒトラーの秘密図書館』 書評・読書感想・本の話

読書は死ぬほど真剣な仕事──『ヒトラーの秘密図書館』

独裁者の典型とされるヒトラーは大変な読書家だったそうである。彼の行ったことは許されざることだが、その一方で人間には暴虐の限りを尽くした人物が、本という静謐な存在にはどのように向き合ったのかは正直なところ興味がある。そうして出会ったのが本書だ...
「無知の知」を考える──『ソクラテスの弁明』 書評・読書感想・本の話

「無知の知」を考える──『ソクラテスの弁明』

知識の無さを自覚した時にふと脳裏をよぎった「無知の知」という言葉。知っているようで正確に理解できていないと思い、ソクラテスに関する著作の中では最も有名であろう『ソクラテスの弁明』を読んでみた。告発されたソクラテスが法廷で行った弁明の様子を、...
もし「ことば」が存在しない世界だったら──『ことばと思考』 書評・読書感想・本の話

もし「ことば」が存在しない世界だったら──『ことばと思考』

本書は「異なる言語の話者は、世界を異なる方法で見ているのか」という問いについて答えを出そうとしている。例えば世界には「左」という言葉の概念を持たない民族が実際にいる。そういう人たちは左という概念をどのように捉えているのだろうか。もしかしたら...
タイトルとURLをコピーしました