【感想記】『劇場版プリパラ み~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』

【感想記】『劇場版プリパラ み~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』 映画(プリティシリーズ)
Photo by Amazon.co.jp

プリティシリーズ欠乏症に陥ったので、これまで手を付けられていなかった劇場版の視聴に着手することにした。

劇場版プリパラ み~んなあつまれ!プリズム☆ツアーズ』は全五作品ある劇場版プリパラの記念すべき第一作目である。公開日は2015年3月7日であり、『プリパラ』の放送がスタートしてからまだ半年ほどしか経過していない時期だ。そのため『プリパラ』の映画ではあるものの、そのストーリーは前作の『プリティーリズム』三部作と大きく関わったものとなっており、双方の作品の橋渡し的な役割をしているのが本作だと言える。

あらすじ

歌って♪踊って♪オシャレして♪女の子のあこがれがつまった誰でもアイドルになれる「プリパラ」の世界へようこそ!

らぁら、みれぃ、そふぃ…アイドルがい~っぱい集まる最高にアゲアゲなライブを大スクリーンでみるステキなツアーにみんなをご招待!
あの「プリティーリズム」の世界にもちょっぴり寄り道しちゃうからお楽しみに♪
しかも、ツアーの行先はひとつじゃない!?何がおこるかわからないドキドキを映画館で確かめてね♡

はじめてプリパラを経験する人も、ゲームやテレビで楽しんでる人も 劇場版でいっしょにもりあがって、ともだちになっちゃおう!!!

ニュース|劇場版プリパラ公式ホームページ

その後の映画の礎となった作品

一般的な映画とは異なる形式を採用しているのはこの映画の最大の特徴と言えるだろう。

ひとつは「ルート分岐」が存在することだ。物語の途中で4つの扉のどれかを選ぶ場面が存在し、選んだ扉によって展開が変わるというものである(ただし辿る結末は同じ)。Blu-rayでは当該の場面で好きな扉を選べるというインタラクティブなものとなっていたが、劇場公開時は週替りに上映されるルートが変化していたようだ。この分岐のシステムはその後の劇場版でも採用されていった。

●ストーリーは週替わり!
プリズムツアー中に突然現れる4つのドア。選んだドアによってツアーの行き先が違うのだ。
らぁらたちが選ぶドアは週替わり!今週はどのツアーに行けるかな!?

ニュース|劇場版プリパラ公式ホームページ

もうひとつは「応援上映」の存在である。後の『KING OF PRISM by PrettyRhythm』によって応援上映は世間に大きく認知されることとなるが、この映画はその先駆けと言えるだろう。

*アイドルおうえん上映とは?
コスプレOK!声援OK!お客様みなさんで一緒に盛り上がるイベント上映です!
この上映回に限り、コールや応援など、本当のライブをご覧いただいているかのように盛り上がっていただいて構いません!
劇場のルール・以下の注意事項を守り、お客様みなさんで一緒に盛り上がってください♪

アイドルおうえん上映会とは!?アイドルおうえん上映イメージムービー到着!

そして実際の応援上映の様子の動画がこちら。

まだプリパラ初期ということもあり、この映画も基本的には低年齢層を意識した作りとなっているのだが、映像を見ると大きなお友達だらけで安心した。ただ女性もそれなりにいるようで、年齢性別問わず盛り上がっている様子はとにかく楽しそうだ。

こうして見ていくと大半がライブシーンという構成の本作ではあるが、「ルート分岐」と「応援上映」というその後の劇場版の方向性を決定づける要素が初めて実装された意義深い作品でもあることが伺い知れる。

プリティーリズムへの入り口

先ほども言ったようにこの映画は前半は『プリパラ』の、後半は『プリティーリズム』のライブシーンが大半を占めている。視聴者は「プリパラツアーズ」の参加者としてそれらの映像を見ていくというもので、ストーリーの本筋というべきものは無いに等しい。そのため純粋な「プリパラの映画」を求める人は面食らうかもしれない(レビューでもその部分に言及している人は少なからず存在する)。

ただ名前は違えど同じ「プリティシリーズ」に属する作品である。『プリパラ』を楽しめるのであれば『プリティーリズム』も必ず楽しめるはずだ。プリパラ目当てだった人もこの機会にプリリズに目を向けてほしいという願いがこの映画には込められているのだろうし、個人的にもそういう人が増えてほしいと思っている。『プリティーリズム』ほど面白く、感情を揺さぶられるアニメはそうそうない。「プリティシリーズ」という枠に関係なく、ひとつのアニメとしておすすめしたい作品だ。

映画ならではのプレミア演出も

また実際にはそのライブシーン自体も粒ぞろいだ。

個人的に印象に残ったのはコスモさんである。何故か「マスコットの地獄」で佇んでいる段階でもう面白いのだが、そこからまさかのプリズムショー披露、そして本編では見られない左目の開放など、映画ならではのプレミアム感満載の演出に溢れていた。まだラストでは「プリズムのきらめきをヒントにして作ったのがサイリウムコーデなのよ」とさらっと重大な秘密を明かすなど、存在感が迸っていたように思う。

そして「ルート4」の存在に触れないわけにもいかないだろう。「胸キュン!プリズムボーイズツアー」の名の通り、これはプリリズに登場した男子アイドルをフィーチャーしたルートである。全ルートの中で唯一初披露の曲と映像が含まれているのも特徴だ。このルートの存在が与えた影響は大きく、そのあまりの反響の大きさを受けて『KING OF PRISM by PrettyRhythm』の制作が決定したという逸話があるほどだ。

当初から予定されていたルート1〜3と異なり予算がほとんど無く一時は中止が検討された中、完成に漕ぎ着けたルート4は配給側の予想を上回る好評を博し7月20日に渋谷で開催された『踊る! アイドルおうえん上映会』の投票でもルート4が選ばれている。こうした男子プリズムショーへの反響の大きさから劇場用映画として企画が始動したが、既に『プリティーリズム』シリーズの後継タイトルとして『プリパラ』が軌道に乗っていることもあり、マーケティングに際しては女児向けタイトルである『プリパラ』との競合を避けることが最優先とされた。

KING OF PRISM by PrettyRhythm - Wikipedia

その他にも『プリパラ』本編では見られないらぁら達とセインツの絡みや、本編でやったら怒られそうな網タイツコーデ(正式名称は「バニーマジシャンコーデ」)など、見どころは非常に多い。プリティシリーズを通して視聴している人には贅沢な内容に溢れており、一方で『プリティーリズム』を知らない人にとってはこれ以上無いほどに上質な導入編となる。そんな映画だと言えるだろう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました