【ライブレポ】『バーチャルミュージカル「ハイスクール！キラッとプリ☆チャン～キラキラ☆未来の運命～」』【感想記】

2月10日に公開された前編から早くも一ヶ月が経過していた。2024年も春に差し掛かっている現実に具合が悪くなってくる。

【ライブレポ】『バーチャルミュージカル「ハイスクール！キラッとプリ☆チャンドキドキ☆入学の運命」』【感想記】

『バーチャルミュージカル「ハイスクール！キラッとプリ☆チャン～キラキラ☆未来の運命～」』は「ドキドキ☆入学はじまりの運命さだめ」の後編にあたる物語を描いていく。ストーリー上で不透明だった部分が明らかにされていくのはもちろん、前編では姿を見せなかったキャラクターも続々と登場するなど、大々的に展開された五周年記念イベントを締めくくるのにふさわしい内容となっている。

前編と同様に主題歌「ハイスクール・チャレンジャー」のライブと共にステージが開幕。みらい達の会話的に前編から数日は経過しているようで、学食の話題で盛り上がるなどなんだかんだで高校生活を満喫しているようだ。そんななか、さだめ学長から文化祭である「大宇宙サダメモリアルカーニバル」の開催が突如として宣言されたことからストーリーが動き出していく。

文化祭をライブで盛り上げていくことになったみらい達。「SUPER CUTIE SUPER GIRL」「寝ても覚めてもDREAMIN' GIRL」などの楽曲は馴染み深いが、それが高校生になった彼女たちによって披露されている事実に胸が熱くなってくる。またWだいあによる筐体曲「Forever Friends ～1/74億分の奇跡～」は二人の関係性にぴったりの歌詞や可愛らしい振り付け、佐々木李子の見事な歌いわけなどもあって瞬時に惹きつけられてしまった。

気持ちの高ぶった学長が「我にこれまでに無かったライブを見せてほしいのだ！」と望んだことにより、後半からはプレミアム感が加速する。Run Girls, Run!の復活を感じさせる「Brand New Girls」は声優ライブでは何度か披露されているものの、CGライブとしてフルバージョンが披露されるのはおそらく初めてのことだろう。またあんなとさらにえもを加えた“エモティックスター”による「チョコッティこちょハート」も披露されるなど、毎度のことながら放送終了したアニメ作品とは思えないほどに新鮮な要素が多いことに驚かされるばかりだ。

そんななかにあって個人的に最も印象に残ったのは、サプライズ登場した白鳥アンジュの「フォーチュン・カラット」である。アニメで視聴した際にも圧倒されたが、バーチャルライブとしてあらゆる角度から改めて見ると、透明感のある歌声や流れるようなダンスのなかに、彼女の天真爛漫な力強さがありありと表現されていることに気がつく。もしかするとそれは迷いを乗り越えた今の彼女だからこそ表現できたものなのかもしれない。いずれにせよ、やはり彼女こそが最強のプリ☆チャンアイドルであると納得せざるを得ない内容だった。

マスコッツを始めとしてシリーズ全体のキャラクターが続々と登場するなか、物語は核心へと向かっていく。その全貌は自らの目で確かめてほしいが、個人的には「銀河さだめ」というキャラクターの描き方が素晴らしいと感じた。前編では親しみやすさを感じながらも不透明な部分が多く、彼女を訝しむ人も自分を含めて多かったのではないかと思う。そんな彼女が心に秘めた真相に迫っていくうちに、我々は彼女がひとりの人間であり、ひとりの女の子であり、プリ☆チャンの可能性を信じる同士であることを知る。ミスリード的な前編も相まって、最後にはさだめちゃんのことを大好きになっていくのである。

宇宙を舞台とした今回のバーチャルライブは『キラッとプリ☆チャン』に相応しい壮大過ぎるストーリーではあったが、どれだけ風呂敷を広げようとも終止符を打ってくれる安心感があるのが作品のコンセプトでもある「やってみなくちゃわからない！わからなかったらやってみよう！」だった。突拍子もない未知のことが起きようとも、それに対して真正面からぶつかっていくみらい達の姿勢にはいつも勇気づけられる。

そのストーリーを彩る数々のライブもまた素晴らしかった。やはりプリ☆チャンは最高。そしてプリ☆チャンのライブは特別。当初は五周年記念で完全新作ストーリーが描かれるだけでも満足していたが、こうしてひととおり終わってしまうと「まだまだ物足りない」という欲が芽生えてくる。今後も『キラッとプリ☆チャン』のさらなる展開に期待しつつ応援していきたいところだ。