メンタルをブレさせない秘訣は「確率」にある──『なぜロジカルな人はメンタルが強いのか? 現代最強雀士が教える確率思考』

メンタルをブレさせない秘訣は「確率」にある──『なぜロジカルな人はメンタルが強いのか? 現代最強雀士が教える確率思考』 書評・読書感想・本の話
Photo by Amazon.co.jp

トッププロ雀士が書いたビジネス書──そんな異例の本がこの『なぜロジカルな人はメンタルが強いのか? 現代最強雀士が教える確率思考』である。

著者の小林剛は書名にもあるように「現代最強雀士」の一角に名を連ねるほどに知名度の高いプロ雀士だ。そんな彼の雀風には面白い点が色々とあるのだが、最もよく言及されるのはやはりそのブレないメンタルである。

私、小林剛は「鋼のメンタル」「サイボーグ」と言われるほど、メンタルが強いとされている麻雀のトッププロです。

ただ著者は自身の性格を「けっして図太い人間ではありません」と語っており、そうであるにもかかわらず物事に動じずにいられるのは「物事を論理的に考えることができているから」だと続ける。つまりメンタルがブレるのは生まれつきの性質によるものではなく、ものの考え方によってコントロールできる技術であると述べているわけである。

すべては起こるべくして起きる

麻雀は理不尽なゲームだと言われることが多いし、実際にそう思うことも頻繁にある。訳のわからないような不幸な出来事に急に襲われるのが麻雀なのである。そんなときに人は「なんで自分だけこんな目に遭わなければいけないんだ」という気持ちに襲われ、メンタルを崩してしまう。

ただ著者は、すべては確率通りに起きている事象であり、そこに「理不尽」などというものは存在しないと述べる。

こうした確率の低いことが起きて「理不尽だ」と嘆いたりしますが、実際には理不尽でもなんでもなく、ただ起こるべきことが一定の確率で起きているだけなのです。

確かに理不尽な出来事は全体として見れば起きるのは低確率かもしれない。ただそれはあくまでも確率が低いというだけであって、絶対に起きないと保証されているわけではない。だからそれに対して動揺したりするのは誤りだというわけである。

とはいえロボットならともかく、人間心理としてなかなかそのように割り切れない部分があるのが実際のところだ。そんな人に向けた具体的な内容として、本書のなかでは確率をベースに物事を予測することがおすすめされている。

確率予測力が上がれば、自然とメンタルも強くなります。成功も失敗も、「よい偶然」も「悪い偶然」も、どれくらいの確率で起こりうるか把握していれば、どんな結果でも受け入れやすくなります。平常心を保ちやすくなるのです。

例えば麻雀においても序盤で先制好形リーチを打った際のアガリ率が約70%だと理解しているか否かでは、結果に対するメンタルの影響も変わってくるだろう。そのデータを知っていればツモれずに流局したり、他の人にアガリを持っていかれたとしても「30%はアガれないのだから仕方がない」と気持ちを切り替えやすいかもしれない。

逆にそのことを理解していない場合は「不運なことが起きた」という漠然とした感覚だけが残ることになるだろう。未来に起こりうる出来事を確率という視点で見ることは、自身のメンタルへの保険となるのである。

ミスへの向き合い方

また麻雀においてメンタルがグラッとくる瞬間といえば、ミスを犯してしまったときである。注意していれば避けられたと思ってしまうだけに、そこに気がついた瞬間に激しい後悔に襲われる。それをきっかけにポーカーでいうティルトの状態になってしまい、冷静な判断を下せなくなってしまうことは多い。

ただ著者に言わせれば、ミスが原因でメンタルをブレさせている人は、そもそも自分自身を「過大評価」しすぎだと指摘する。つまり自分を「ミスのしない完璧な人間」と思いこんでいるからこそ、ミスをしたときに心に動揺が起きるわけである。ただ冷静に考えれば自身がそこまで完全無欠な人間ではないことは明らかなはずだ。つまり真の問題はミスを起こしたことよりも、自分の実力への誤った認識にあるということだ。

ちなみに、私はミスをしたときに、自分に腹を立てる気持ちは起こりません。なぜなら、「頻繁にミスをする」ところまでが自分の実力だと思っているからです。もし「普段しないミスをしてしまった……」と腹を立てているなら、「自分をミスをしない人間だ」と過大評価しています。もちろん、ミスの頻度には個人差があると思いますが、そのミスの発生頻度も含めたところまでが実力だと認識すべきです。

著者のように「ミスをしても当然」という心構えで物事に臨めば楽になる場面は多いのではないだろうか。ほとんどの場合において「ミスが絶対に許されない状況」というものはほとんどない。起きてしまったことは過去のこととして置いてきて、次に目を向ける。それこそがミスに対するロジカルな向き合い方なのだろう。

おわりに

さてここまで読んでくれた人はなんとなく気がついているかもしれないが、この本におけるビジネス書としての要素はおまけ程度のものであり、大半は麻雀に関する内容となっている。個人的にも「ビジネス書」としてよりは「麻雀でメンタルが落ち込んだときに読む本」として読ませていただいた。

もちろんメンタルを維持するというのは人間の活動すべてにおいて大切なことであり、この本の内容はビジネスを始めとしたあらゆる場面で通用するものだろう。麻雀に関する用語についても脚注で詳しく解説されており、麻雀を知らない人も読めるように工夫されている。ただ個人的にはやはり麻雀を知っている人のほうがこの本を楽しめると思うし、自分のようなコバゴー(著者の愛称)ファンに読んでほしいというのが正直なところだ。

また麻雀で負けまくったらこの本を紐解き、メンタルを整えていきたいと思う。

コメント

  1. 匿名 より:

    麻雀の勉強のモチベがあがるいい本