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読書は死ぬほど真剣な仕事──『ヒトラーの秘密図書館』 書評・読書感想・本の話

読書は死ぬほど真剣な仕事──『ヒトラーの秘密図書館』

独裁者の典型とされるヒトラーは大変な読書家だったそうである。彼の行ったことは許されざることだが、その一方で人間には暴虐の限りを尽くした人物が、本という静謐な存在にはどのように向き合ったのかは正直なところ興味がある。そうして出会ったのが本書だ...
「無知の知」を考える──『ソクラテスの弁明』 書評・読書感想・本の話

「無知の知」を考える──『ソクラテスの弁明』

知識の無さを自覚した時にふと脳裏をよぎった「無知の知」という言葉。知っているようで正確に理解できていないと思い、ソクラテスに関する著作の中では最も有名であろう『ソクラテスの弁明』を読んでみた。 告発されたソクラテスが法廷で行った弁明の様子を...
もし「ことば」が存在しない世界だったら──『ことばと思考』 書評・読書感想・本の話

もし「ことば」が存在しない世界だったら──『ことばと思考』

本書は「異なる言語の話者は、世界を異なる方法で見ているのか」という問いについて答えを出そうとしている。例えば世界には「左」という言葉の概念を持たない民族が実際にいる。そういう人たちは左という概念をどのように捉えているのだろうか。もしかしたら...
なぜトウガラシはコショウを超えたか──『トウガラシの世界史』 書評・読書感想・本の話

なぜトウガラシはコショウを超えたか──『トウガラシの世界史』

辛味。それは味覚神経における五味(甘・塩・酸・苦・旨)とは違い、「痛み」に分類される刺激なのだそうだ。一見すると不必要に思える感覚だが、それにもかかわらず人が辛いものにここまで惹きつけられる理由は何なのだろう。 本書は特にそれを解明する内容...
美なるからこそ焼かねばならぬ──『金閣寺』 書評・読書感想・本の話

美なるからこそ焼かねばならぬ──『金閣寺』

『金閣寺』は1950年(昭和25年)に起きた「金閣寺放火事件」を題材とした小説である。三島由紀夫の代表作であると同時に、日本文学史における傑作でもある。 内容としては事件当時に話題となった犯人の「動機」がメインテーマとなっている。犯人の供述...
「自由」の意味が問われる──『砂の女』 書評・読書感想・本の話

「自由」の意味が問われる──『砂の女』

安部公房といえば『メタルギア』シリーズの生みの親である小島秀夫氏の話を思い出す。彼によればダンボールを使って身を隠すというあの常軌を逸した行為は、安部公房の『箱男』をモチーフにして生まれたらしい。それを知っていたのもあって安部公房を読むなら...
日本語への慣れを捨てろ──『日本語の作文技術』 書評・読書感想・本の話

日本語への慣れを捨てろ──『日本語の作文技術』

以前から気になっていた『日本語の作文技術』を読んだ。本書は1982年に刊行された本ながら2015年に再編集された新版が発行されるなど、文章に悩む人々に長きにわたって愛読されてきた名著である。 目的はただひとつ、読む側にとってわかりやすい文章...
読書が脳細胞を進化させる『プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?』 書評・読書感想・本の話

読書が脳細胞を進化させる『プルーストとイカ―読書は脳をどのように変えるのか?』

主題だけだとこの本が何を言いたいのか全くわからないが、さすがにその点は著者も気がついたのか副題がかなり核心を付いたものになっている。つまり読書が脳にどのような影響を与えるのかを解き明かしていくのが本書の内容だ。インターネットが全盛の現代にお...
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