【感想記】『ワッチャプリマジ!ミュージックコレクションDX』【レビュー】

【感想記】『ワッチャプリマジ!ミュージックコレクションDX』【レビュー】 CD・ライブ
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予約していたのでフラゲできるのは想定内だったのだけれど、まさかの発売2日前に届いてたまげました。3月22日が祝日だったことが影響しているのかもしれない。嬉しいサプライズだ。

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試聴動画

ジャケット、ディスク、特典など

ジャケットはみゃむとまつりが仲睦まじく手を繋いでいるイラストだ。この二人が楽しげに手を繋いでる。それだけで十分ではないだろうか。細かい部分を言えば、みゃむのほうが少しまつりに対して寄っているように見えないこともない。まつりがラブエレメンツコーデを着ていることから、このイラストはおそらく最終回後の場面を描いたものだろう。魔法界でもまつりとみゃむがプリマジをやっている情景が想像できる嬉しいイラストとなっている。

三枚ある各ディスクおよびブックレットはこのような感じ。青いディスクはみゃむの色、赤いディスクはまつりの色だろうか。DX版限定のブルーレイディスクにはジャケットイラストがデザインされている。

初回版の特典はジャケットイラストのステッカー。ジャケットを写しただけだと思ってはいけない。こちらはジャケットでは見られない全体図を見ることができて素晴らしい。

そしてこちらは楽天ブックス限定特典のミニアクリルスタンド。7.5cm角とミニマムサイズではあるのだが、そうは思えないほどの重量感がある。御神体として飾っておきたい気持ちもあるが、空気に触れさせて汚したくもないので写真を撮ったあとに元の袋に収納した。

『ワッチャプリマジ!』に思いを馳せつつ全曲レビュー

ここからは各楽曲のレビューをしていくが、本編が最終回を迎えたいま、どうせならその楽曲が劇中においてどのような役割を果たしていたか、歌詞がどのような意味を持っているか、という点に重きを置いて語ってきたいと思う。

スタートはもちろん「マジ・ワッチャパレード」。『ワッチャプリマジ!』の初ライブを飾った曲であり、同時に締めくくりにもなった曲だ。ソロ曲はそれぞれのキャラクターの性格を強く反映したものとなっているが、この曲はひたすらに他人の夢を応援する内容となっている。そこには自分のことよりも他人を慮るまつりの性格が表れており、みゃむの孤独な心を埋めていったのもそんな彼女の優しさだったのだろうとあらためて感じる。

2曲目は意外にも「Believe」だったが、実はこの楽曲が劇中で登場したのは「マジ・ワッチャパレード」よりも先なので妥当な位置なのかもしれない。「世界に愛を届けたい」と願ったジェニファーらしく、こちらもまつりと同様に聞いた人を夢に向かって前進させるような力強さを持った楽曲となっている。ジェニファーはまつりの憧れの存在なので、この曲を受けて「マジ・ワッチャパレード」の内容が似たものになったと憶測することもできるかもしれない。天真爛漫なジェニファーを象徴するような楽曲であるが、それだけにこの曲を聞いていると彼女がアポローン化したことの罪深さを思い知らされる。

Starlight!」はメロディだけ聞くとしっとりとした楽曲の印象を受けるが、その歌詞のなかにはひな先輩のプリマジへの自信や勝利への貪欲さがギラギラと輝いている。この性格があったからこそ第11話で逆境を跳ね返すことに繋がったが、一方でそれが災いし第33話のような悲劇を生み出すこともあった。

イワナイ」はCGライブではみるきの特徴的なダンスやセットのファンシーさに気を取られていたが、あらためて聞くと単体で高いクオリティを誇っていることに気付かされる。情感あふれるメロディと相良茉優の切なげな歌声から醸し出されるセンチメンタルな雰囲気がたまらない。歌詞ではみるきの奥底にある繊細な性格が描かれている一方で、「You&I(イエナイ)」といった言葉遊びや「運命欠乏症」というパワーワードが散りばめられているなどユーモラスな一面も併せ持っている。

本編で「こんな世界に告ぐ」を聞いたときの衝撃と感動は忘れられない。シックな楽曲を思わせるイントロは、そんな予想をあざ笑うかのように一転して激しいメロディへと変貌を遂げ、そこに鈴木杏奈のドスの利いた歌唱が加わっていく。『ワッチャプリマジ!』の楽曲は全体的にクオリティが高いと思っているが、そのなかでも「こんな世界に告ぐ」は屈指の名曲だと思っている。鬱屈を爆発させる内容の歌詞も共感できて魅力的だが、ブックレットの歌詞が(ヴォイ)だらけなのにはつい笑ってしまった。

The Secret Garden」の歌詞は一見しただけでは意味を捉えづらく、それはまるであまねのミステリアスな性格をそのまま覗いているかのようだ。ただこの曲は「花」の部分を「プリマジへの愛」に変換すると理解しやすくなる。つまりはあまねのプリマジに対する燃えるような愛の歌なのである。本編ではその愛が強すぎて頻繁に心を悩ませることも多かったが、容姿端麗なあまねの奥にあるそんな人間臭さが自分は好きだ。

『ワッチャプリマジ!』において三人以上で歌われているのはこの「ワッチャ!プリーズ!マジック! -What's your "Please" Magic?-」が唯一という点で意義深い楽曲だ(ちなみに7曲目に「5人ver.」が、14曲目に「6人ver.」が収録されているが、ほとんど違いはないのでここでまとめて触れる)。合宿で築き上げた5人の絆をエネルギーとして大爆発させているかのように底抜けに明るい曲となっている。

滲む、馨る、」は神秘的な曲調とパントマイムのようなダンスが魅力の楽曲だ。歌詞はあうるが自問自答をしているかのような内容になっており、他のキャラクターのように性格を強く反映したものではない点で異彩を放っている。あうるはまつり達と関わるなかで思想を大きく変化させていったキャラクターなので、この段階では性格を決定づけるような歌詞にはできなかったのだと考えられる。

9曲目からはいよいよデュオ楽曲に突入していく。本編ではサプライズ的に公開された「Don't be Afraid」。『プリパラ』からこのシリーズに入った自分としては男性アイドルの存在に最初は驚かされたが、今となっては必要不可欠な要素だと感じるまでになっている。特に橙真は好きなキャラクターだったので、まつりを応援する側からされる側になったことは感慨深い。

奇跡の降る」という余韻たっぷりのタイトルがすでにおしゃれだ。歌詞ではまつり達との出会いで「自分らしさ」を理解したあうるの心情が綴られている。浮遊感のあるメロディが非常に心地よい楽曲だ。個人的には目をつぶって横にちょこちょこ動くダンスがかわいくて好きだ。

ひな先輩とあまねというプリマジガチ勢によるデュオ楽曲が「天頂のコンフィアンサ」である。「コンフィアンサ」はスペイン語で「信頼」の意味。楽曲とダンスも全体を通してフラメンコをモチーフとしているのが特徴だ。このデュオを組むまでに苦境を乗り越えてきた二人だけに、この曲で描かれているのは互いへの絶大なる信頼と、それに裏付けられた圧倒的な自信である。最強の一角を担う二人にぴったりの曲だと言えるだろう。ひな先輩の女性的な声とあまねの凛々しい声とのハーモニーも耳に残る。

そして我らがみるきれもんのデュオ曲「Sweetness×Darkness」がここでようやく登場である。れもんの圧倒的力強さを内包した歌唱力が光るなかで、それをまるで意に介さずマイペースを貫くみるきの甘ったるい歌声が不思議と絶妙なコントラストを描き出している。ようやくフルで聞くことができたが、曲の終了に至るまでれもんパートの重厚なギターサウンドとみるきパートのファンシーなメロディーが渾然一体となっていて実に見事だ。

Lux Aeterna」はジェニファーの楽曲だが、ソロとして新曲を与えられたキャラクターは彼女が唯一である。おそらく難易度の高い楽曲に思うのだが、それを力強く歌い上げている青野紗穂はあらためて見事だと言うしかない。カトリック教会の「レクイエム」がモチーフになっていることもこの楽曲の特徴だが、あらためて歌詞を目で追ってみると世界をぶっ壊す気満々の歌詞で戦慄した。アポローンの意思が反映された曲とも捉えられるが、ジェニファーがアポローンと融合したのは実はこのライブの途中の出来事なのである。「Lux Aeterna」はアポローンの意思によって生まれた曲なのか、それともジェニファーの内面から生まれたものなのかを考えるのも面白いかもしれない。

このアルバムも架橋へと入り、ここからはOP&EDの楽曲となっていく。まずは初代EDの「Magical Future」だが、この曲のイントロを聞くとEDの開始と共に「今週のプリマジも終わってしまった……」と切なくなっていたことを条件反射的に思い出す。シリアスな印象を抱く曲調であり、その歌詞もまつりとみゃむが互いに手を取って夢に向かおうとする覚悟が感じられて力強い。最終回を迎えた今になって聞くとその内容に感慨深さを感じる。

そして二代目のEDとなった「チェックワンツー」は、みゃむ・チムム・きゃろんのマナマナ三人組が歌っていることが特徴だ。比較的落ち着いた曲調ではあるものの、実写ライブではサビの振り付けを観客と一緒に行えるなど、意外とライブ向きの楽曲だと言える。

ラストは「Dreaming Sound」「Chasing the dream」「Magic×Color」のOP曲三連続でDisc1はフィナーレを迎える(例によって三曲とも大人の事情で「TV size」となっている)。各OPはそれぞれのクールのストーリーを踏襲した内容となっている。またれもんの楽曲とはまた違う透明感のある歌声からは鈴木杏奈の表現力の幅広さが伺い知れる。

このCDでは聞くことができないが、Disc1の最後を飾った「Magic×Color」の歌詞は「彼方まで届け Let's Pretty Magic!! 最高の魔法で Pretty Magic!! きっとどこまでも」という言葉で締めくくられている。残念ながらアニメは放送終了を迎えてしまったが、この言葉とともに『ワッチャプリマジ!』という作品を心に刻んでおきたい。

おわりに

やはりプリマジの楽曲はレベルが高い」と再確認できるアルバムだった。それぞれのキャラクターの個性にマッチした楽曲もあれば、違う角度から意表をついてくるような楽曲もある。それぞれが違う魅力を持った曲がここに集っており、非常に贅沢な内容だ。『ワッチャプリマジ!』に思いを馳せつつ何度も聞いていきたいと思う。

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コメント

  1. 匿名 より:

    解説が分かりやすいし熱意がこめられているのが伝わってきて読みごたえ抜群!

    ジャケットやCDのデザインについても触れていてプリマジへの愛とスタッフへのリスペクトを感じました。

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