スカイリム書籍探訪 第一回『アルゴニアンの侍女 第1巻&第2巻』

スカイリム書籍探訪 第一回『アルゴニアンの侍女 第1巻&第2巻』 ゲーム
装丁は普通

記念すべき最初の本はやはり『アルゴニアンの侍女』を選んだ。この本はプレイヤーのみならず作中でもかなり有名かつ特異な本であり、それだけにこの本を選ぶのはひねりがなさすぎるかとも思ったのだが、どうやって考えてもやはりこれ以上にふさわしい本もない。どういった本なのかと言うと、この本は官能小説なのである。

しかしただの卑猥な小説なら「スカイリムにおける本の代名詞」と言えるほどの地位をこの本は確立できなかっただろう。この本の魅力はその表現の突き抜けた馬鹿らしさや、淫靡さを強調するべきジャンルなのに登場人物はなぜかアルゴニアンだったりと、笑わせたいんだか興奮させたいんだかよくわからん世界観にある。

具体的な内容にも触れると、主人と侍女の背徳的なやりとりが描かれているだけなのだが、注目すべきは隠語につぐ隠語である。「ほら、俺の槍を磨け」「とても大き過ぎます! 一晩中、掛かるかもしれません!」という会話はあまりにも有名。2巻も「まあ、大きなパンの塊! でもどうすれば私の炉に入るかしら?」という侍女のセリフからいきなり始まる。

名台詞の応酬

戯曲として書かれているのも恐ろしい。どうやってこの話を演じろというのだろうか。ゲーム内においては1冊の中から一部分だけを抜き出して書かれており、内容としてはかなり簡潔かつ短い。取っつきやすいので、興味のある人は実際に読んでみてほしい。

スカイリムの世界における立ち位置としては、作者は前前作の『Morrowind』に登場しており、原作者そのものがすでに狂っていることが明らかになっている。また前作の『Oblivion』では今作と同様に『アルゴニアンの侍女』という本が存在してる。また今作の『Skyrim』においてはフォリオ版が存在し、作者から恩人への謝辞が書かれているなど、制作側も意図的にこの本を特別な存在にしているというのがあらゆる点から理解できる。

余談だが、ベンコンジュリケというリークリング族が根城にしている洞窟にはこの本が山積みにされている。この記事を書くにあたりその場所から本を拝借して読んだのだが、ろくな文明も存在しないようなあの蛮族たちにすら愛好されているというのは、この本の凄みを証明することになるのかもしれない。

その周囲にはリネンラップという麻布が意味ありげに散乱している

※次回は『本物のバレンジア(全5巻)』の予定です。「書籍探訪」は第一回の当記事をもって無事に最終回となりました。ありがとうございました。

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